2. 眼の使い方による変化
眼の使い方、つまり「環境因子」がなぜ「軸性近視」の進行について影響するのか説明します。
「軸性近視」というのは、眼の形が細長くなってしまい、ピントがあわなくなってしまうものでしたね。
まず、理科のおさらいをしてみましょう。人間の目は光を一点、つまり目の奥に集めるレンズ(凸レンズ)として働きます。
遠くの光や景色を見る場合
遠くの景色を見る場合、光は平行にレンズに入ってきますので、規定の位置で光が一点に集まります。この点を焦点といい、ピントの合った状態です(「正視」は焦点が網膜にある状態です)。
近くの物を見る場合
近くのものや光を見る場合、光はレンズに向かって広がりるように進むため、レンズで光を集めても、焦点は本来の位置よりも遠くなります。
このため、近くのものを見ると、眼の奥(網膜)よりもさらに奥、つまり目の外に焦点が出てしまいます。
見やすくなるように眼が変化する
近くのものばかりを見ていると、焦点が遠くにある状態が続きます。
見える像はぼやけて見えにくいので、目自体が少しづつ細長く、焦点が網膜と一致するように、見やすくなるように変化します。これが軸性近視が進む原因のひとつと考えられています。動物実験でも目の奥(網膜)の中心部(中心窩)や周辺部網膜で、像が網膜の外側に写ることが眼軸の延長が促進することが報告されています。
眼の中心だけではなく、視界の周辺部分のぼやけも原因となりうる
これも「像のぼやけ」の一種ですが、中心部分のぼやけよりも視界の周辺部分のぼやけのほうが近視の進行に影響を与えやすい、という説もあります。