オルソケラトロジーとは
オルソケラトロジーは、裸眼での視力を上げる新しい治療法です。
オルソケラトロジーは特殊な形状のコンタクトレンズ(ハードレンズ)を夜間のみ装用し、角膜を変形させることで近視を矯正します。日中は裸眼で良好な視力が期待できます。
また、近年では児童の近視進行抑制に効果があると注目されています。
「児童の近視進行抑制」のもう一つの治療法、リジュセアⓇミニはこちらを参照してください。
オルソケラトロジーのしくみ
オルソケラトロジー使用するコンタクトは真ん中が平らになっていて、装用することで角膜を変形させます。
近視の方は、ピントが網膜の手前にあう状態です。このため網膜に映る像はぼやけています。
オルソケラトロジー用レンズを装用すると、角膜がレンズの形にあわせて変形するため、表面が平らになります。
レンズを外したあとも角膜は平らな状態を保ち、ピントの位置は網膜にきちんとあう状態です。
どんなレンズですか?
現在、厚生省から認可されているオルソケラトロジー用のレンズは数種類あり、群馬県内はもちろん、高崎市内の眼科で、それぞれ違うタイプのレンズでオルソケラトロジーが行われています。
夜間のみ装用するとはいえ、あまり装用時の違和感があるものでは長続きしない恐れもあります。
当院では実際にスタッフが各製品を実際に装用し、もっとも装用時の違和感が少なかった「ブレスオーコレクト」を採用しました。
オルソケラトロジーの適応
-4.0~5.0D程度の、中等度までの近視の方が対象です。
以前は強度近視の方も適応でしたが、最近では感染症のリスクを考慮し、強度の近視眼にはオルソケラトロジーは向いていないと考えられています。
当院では基本的にオルソケラトロジーガイドライン(第2版)に準じて、治療を行っています。
こんな人にお勧めします
- メガネ枠がうっとうしい方
- コンタクト装用時の違和感から解放されたい方
- 休日のスポーツなどを裸眼でしたい方
- レーシックなどの従来の近視矯正に抵抗のある方
オルソケラトロジーによる近視の進行を抑制する効果
「オルソケラトロジー」は裸眼視力を矯正するだけではなく、学童期の近視進行を抑制する効果が報告されています。
理論的なこと
オルソケラトロジーでは、特殊なデザインのレンズを使用します。周辺部では急激に屈折力が変化するため、軸性近視で問題となる網膜周辺部での像のぼやけを軽減し、近視の進行を抑える、というものです。
メリット
- なんといっても、日中は眼鏡もコンタクトもいらない、という点。
- 好きな時にやめられる。
デメリット
- 通常のコンタクトよりやや高い(1dayのソフトコンタクトを使用する場合、5年ほどでだいだい同額になる)
- 夜間のみとはいえ、コンタクトを装用するため、粗雑な扱いをした場合、角膜障害や角膜感染症を引き起こす可能性があります。
- 適応は-4D前後まで、すべての近視児童が適応となるわけではない
未成年者への処方について
当院では基本的にオルソケラトロジーガイドライン(第2版)に準じて、治療を行っています。
ガイドラインでは未成年者は「慎重処方」です。したがって、
- 保護者の方がリスクを十分に理解なさっている場合
- 試験装用期間を十分設け、医師が装用に問題ないと判断した場合
のみ処方を行っています。
よくある質問
体験できますか?
実際の装用にあたりオルソケラトロジーという「治療」の適応があるかどうか判断する必要があります。
視力や目の状態(ドライアイなど有無や視力低下の原因となる病気のチェック)などを行います。問題がなければトライアル用のレンズを1-2時間装用していただき、効果を評価していただきます。
レーシックなどの方法との違いは?
コンタクトレンズを装用するだけですので、いつでも元の状態に戻せることが最大のメリットです。
レーシックは角膜自体をレーザーで削りますので、元の状態に戻すことができません。
オルソケラトロジーは目を切りません。コンタクトの装用を中止すれば角膜はもとの状態に戻りますので、体を傷つける心配のない矯正方法です。
いつ、どのくらいレンズを装用するの?
夜間、睡眠中にコンタクトレンズを装用します。6-7時間の睡眠時間を確保できれば、見え方は安定しやすいようです。
使用するレンズは酸素透過性が非常に高いことが特徴です。しかし、長期利用に伴う安全性についてはまだ確立していませんが(歴史が浅いため)、いまのところ、角膜障害を裏付ける報告はありません。
すぐ見えるようになりますか?
装用を開始した翌日から裸眼視力は改善します。本来の意図した見え方に安定するまで5日から一週間ほどかかることが多いようです。その間は、必要に応じて通常のコンタクトレンズを使用します。
どのくらい効果は続きますか?
個人差はありますが、日中は裸眼でよく見える状態を目標にします。
裸眼でも1日以上、良好な視力を得られることもあるようです。ただし、基本的には就寝時には毎日レンズを装用したほうが、効果は安定します。
装用を中断したらどうなるの?
急に裸眼視力が落ちるわけではなく、数日から数週間で徐々に裸眼の視力に戻ります。
1-2泊程度の小旅行は大丈夫、なようです
片目だけの装用は可能?
基本的には両目の装用が推奨されます。
ただし、片眼のみ近視が強い方などで実際に片眼のみオルソケラトロジーを受けている方はいらっしゃいます。
片眼の場合の料金は受診時にご確認ください。
免許は「眼鏡なし」になりますか?
いいえ、「眼鏡使用」の条件はつきます。
以下、日本コンタクトレンズ学会のホームページより引用。
警察庁交通局運転免許課からの通達により、オルソケラトロジーレンズの使用者は、運転免許取得、更新時の視力検査に裸眼で合格していても、運転免許証の『免許の条件等』には『眼鏡等』と記載されます。また視力検査時には、検査担当者にオルソケラトロジーレンズを使用している旨を申告しなければなりません。『眼鏡等』の記載をなくすためには、オルソケラトロジー治療を完全に中止した上で、裸眼で視力検査に合格する必要があります。オルソケラトロジー治療中でも、基準の視力が得られていない場合は、裸眼で運転すると免許の条件違反となります
治療をやめたいときは?
なんらかの原因で治療を中止したい場合は、すみやかにレンズを返却してください。
試用期間中、本装用のいずれも、使用していただくレンズは当院の所有するレンズのレンタルです。レンズの紛失、破損などの場合は、1枚28000円(税別)をお支払いただきます。
オルソケラトロジーは医療費控除の対象になりますか?
オルソケラトロジーは視力回復を目的とし、医師の指示でコンタクトレンズを装用する治療行為です。このため医療費控除の対象となります。確定申告で申告してください。
くわしくは国税庁のホームページの記載をご参照ください。
「その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象」となり、
「控除額」=「その年中に支払った医療費の総額」-「保険金等で補填される金額」-「10万円または所得金額の合計額の5%いずれか少ない方」
です。なお、所得が200万に満たない方は所得の5%以上支払っていれば医療費控除が使えるそうです。
オルソケラトロジーの費用
- 適性検査・仮レンズあわせ代5,000円
- レンズあわせ期間 3万円
- 本装用 1年目12万円
- 本装用 2年目3万円
*いずれも税別
2022年10月現在
オルソケラトロジー 本装用までのながれ
体験装用
視力検査の結果から簡易的に使用レンズを決め、外来で1-2時間ほど試験的にレンズを装用します。
コンタクトレンズを使用している場合、ソフトなら1週間、ハードは2週間以上、装用しない状態で受診してください(装用していない期間が短いと、目の形が変形しているため、レンズがうまくあわない可能性があります)。
1. 適性検査
視力検査や角膜形状、ドライアイなどの詳細な検査を行います。
2. テスト装用
適性検査のデータをもとに、オルソレンズを1-2時間装用、効果を体験していただきます。
1-2時間の装用でも、レンズを外すと、近視が弱まり、見え方の改善を実感していただけると思います。
注意
- もし院内に適切なレンズのストックがない場合、テスト装用のレンズを取り寄せる必要がありますので、仮レンズあわせに日数がかかります。
レンズあわせ期間
3万円(税別)
検査料含む
短時間の装用を繰り返し、オルソケラトロジーの効果が安定しているか確認します。
もし十分な裸眼視力がでない場合は、ここでキャンセル可能です。キャンセルの場合は両眼7500円、片眼5000円をお返しします)。
この段階で治療の適応なしと判断する場合もあります。
本装用 1年目
1年契約: 12万円 (税別)
両眼のレンズ代・検査料、片眼につき2回のレンズ交換、レンズ紛失保障含む
治療は1年間の契約で行います。十分な効果を実感できた方は、治療を継続します。
片眼につきレンズ2枚分の交換保障・破損・紛失保障(12ヶ月間)つきです(2023年1月以降)。なお、月々のレンズケア用品は指定のものを別途購入していただく必要があります
。
もし半年以内で治療をキャンセル・終了する場合は両眼の場合4万円返却いたします。
本装用 2年目
3か月ごとに定期受診を続けます。
レンズの紛失、破損などの場合は、1枚28000円(税別)で別途お支払いいただく必要があります。
レンズ交換について
レンズの寿命はおよそ2年程度です。レンズの状態にもよりますが、傷が目立つ場合はレンズを新しいものに変更していただきます。1枚28000円(税別)です。