顔面けいれん

最近いつも片目のまぶたががぴくぴくして、だんだん範囲が広がってきた気がする….非常にまれな疾患ですが「顔面けいれん」を疑うべき症状かもしれません。当院では「ボツリヌス注射」を行っています。

「顔面けいれん」とは?

「顔面けいれん」の片側性で、下まぶたから症状が始まり、時間とともに頬から口の周りまで症状が拡大していきます。

正式な病名は「片側顔面けいれん」です。

ストレスが誘因になったり、特定の顔の動きで不随意運動が誘発されます。

 

まぶたがぴくぴくするミオキミアと似ていますが、顔面けいれんではぴくぴくする部位がほぼ一定であること、症状の始まる部位、速さが異なります。

ボトックス治療の適応となる、同じような名前の「眼瞼けいれん」という病気もありますが、原因も症状がまったく異なります。

 

顔面けいれんの原因

顔の筋肉を動かす神経(顔面神経)が脳幹部のそばで脳動脈と接触し、その拍動が刺激となり目の周りの筋肉がぴくぴくと小刻みに動いてしまう病気です。

耳鳴りを伴うことがあります。

 

当院では「片側顔面けいれん」と診断した場合、まず、脳神経外科に紹介し、頭蓋内疾患の除外のため必要なMRI/責任血管同定のためのMRAを受けること、今後の方針をしっかり決めることをお勧めしています。

 

 

顔面けいれんの治療

手術治療で治癒が期待できますが、リスクが高いため、最近はボツリヌス注射も有力な治療の選択肢です。

 

薬物治療

まず抗てんかん薬による薬物療法を行います。初期の顔面けいれんにはある程度有効ですが、血中濃度を定期的にチェックする必要があります。

抗不安薬、漢方薬を処方することもあります。

 

ボツリヌス注射

患者さんの希望があれば当院でも施行している「ボツリヌス毒素の注射(保険適応)」を行います。顔面けいれんでは不随意運動が目の周りから頬、口角付近と広いため、患者さんの症状にあわせて投与量をこまめに調節しながら注射します。一般的に眼瞼けいれんよりも注射の効果は高く、注射する間隔も3-6か月ごとと長めであると感じます。

 

手術治療

「神経血管減圧術」という手術を行い、神経と血管の接触を解除することで治癒します。

 

 


顔面けいれんと似た疾患

 

  • ミオキミア: ストレスからまぶたがぴくぴくする病気です
  • 顔面神経麻痺後の異常神経支配