眼瞼けいれん

「まぶしくて」「眼が開けられない」、これらの症状は「眼瞼けいれん」を疑うべき症状のひとつです。当院では「ボツリヌス注射」を行っています。

「眼瞼けいれん(がんけんけいれん)」とは?

「眼瞼けいれん」は目の周りの筋肉が収縮し、眼が開きにくくなる病気です。

筋肉が意図せず収縮してしまうジストニアという病気と考えられています。

「けいれん」という病名からまぶたがぴくぴくする病気と誤解されやすいですが、まったく違います。

 

中年以上の女性に多いです。頻度は非常に少ないものの、自覚症状が強く、診断まで時間がかかることが多いのも特徴です。

 

 

「眼瞼けいれん」の症状

眼瞼けいれんの症状として特徴的なものは

• まぶしい
• 目が開いていられない
• ものにぶつかりやすい

などです。

どちらかといえば「ぎゅー」っと目をつぶっているような目の閉じ方です。眼をあけにくくなるため、眉間にしわを寄せて神経質そうな表情になります。多くは両側ですが、片側性のこともあります。

ドライアイを合併する頻度が高く、症状が軽い場合にはドライアイとの鑑別がかなり困難です。自分の経験では「他院でドライアイと診断され、目薬をつけているが全然効かない」という患者さんが多い印象があります。

進行すると口をすぼめるような不随意運動が現れ、「メージュ症候群」と呼ばれます。

 

眼瞼けいれんの治療は?

ボツリヌス療法

眼瞼けいれんは目のまわりの筋肉(眼輪筋)が、本人の意思にかかわらず、収縮してしまう状態です。このボツリヌス療法は、ボツリヌス毒素の注射製剤(製品名 ボトックス)を目のまわりの筋肉に注射し、眼をつぶってしまう動きを抑えます。眼瞼けいれんに対する治療は保険適応です。

効果は3か月ほど持続します。その後、症状が再燃した場合には再度治療を行います。

一定期間で効果がきれますので、長期的な副作用はあまりありませんが、注射の量が多いと目がとじにくくなります。薬の使用量が治療を繰り返すうちに増えることがあります。注射をした場所に色素が沈着することがあります。詳細は来院時にお尋ねください。

 

クラッチメガネ

目を開きやすくするために「クラッチめがね」のような対処方法もあります。この「クラッチめがね」はメガネフレームに取り付けるワイヤの形で販売されています。眼瞼けいれんに対して利用する場合、まぶたを下から支えるのではなく、瞼の上の皮膚を軽く刺激するように装着します。これは眼瞼けいれんでまぶたの上を軽くふれると、眼が開きやすくなる、センソリートリックを応用したものです。

まぶしさ対策に「遮光眼鏡」を処方することがあります。

 

くすりによる治療

向精神薬や抗てんかん薬を内服します。いずれも気持ちや筋の緊張を和らげる緊張を和らげる作用がありますが、内服量によっては眠気やだるさがでることがあります。

ただし、(前の記述と矛盾するようですが、)向精神薬や抗不安薬を内服している患者さんで、この「眼瞼けいれん」が起こりうることが知られています。すでにこれらの薬を内服している場合には処方医と相談の上、 内服を減量・中止するか、他剤に変更可能か検討する必要がある場合もあります。

したがって、当院では漢方薬をお勧めすることもあります.

 

手術治療

眼の開閉に関係する筋肉を切る「眼輪筋切除術」という手術がありますが、効果は一時的かつ限定的です。眼瞼下垂がある場合は手術により眼のあきやすさをある程度改善させることができます。

 


眼瞼けいれんと似た疾患

 

  • ドライアイ: 眼瞼けいれんと合併することが多い
  • ミオキミア: まぶたがぴくぴくする病気です
  • 眼瞼下垂: まぶたのたるみや眼をあける筋肉の機能低下により眼を開けにくくなります
  • 顔面けいれん: 名前が似ているので混同されやすいですが、症状はまったく異なります。
  • パーキンソン病、進行性核上性麻痺、開瞼失行など神経内科的疾患